重要無形文化財の保持者指定
1960年03月文化財保護委員会では日本伝統の芸能及び工芸部門の中で、とくに芸術上の価値高いものを保存するために重要無形文化財指定者を毎年選出しているが本年指定された人々のうち美術工芸関係では次の二名である。平安時代の技術を伝える有職織物の第一人者で、また正倉古代裂の模造に従事していた喜田川平郎、及び初代宮田藍堂に師事しロウ型鋳造法を伝える鋳金界最長老の人佐々木象堂で、25日決定発表された。
文化財保護委員会では日本伝統の芸能及び工芸部門の中で、とくに芸術上の価値高いものを保存するために重要無形文化財指定者を毎年選出しているが本年指定された人々のうち美術工芸関係では次の二名である。平安時代の技術を伝える有職織物の第一人者で、また正倉古代裂の模造に従事していた喜田川平郎、及び初代宮田藍堂に師事しロウ型鋳造法を伝える鋳金界最長老の人佐々木象堂で、25日決定発表された。
日本画家の長老福田眉仙は10年近くかけて労作「中国絵巻」30巻を完成し、2日外務省を通じてコロンビア大学に寄贈した。
芸能、文学、美術など各部門で、その年度に優れた作品をのこし、我が国の芸術の進歩につくした人に贈られる芸術選奨の昭和34年度(第10回)受賞者は、美術関係では山口薫(洋画)、評論部門では小山富士夫と決定した。授賞式は4月7日文部大臣室で行われた。
東京西武百貨店では11日から21日まで読売新聞社主催のもとにギリシア芸術展をひらいた。日本にある彫刻や陶器、グラスから貨幣など生活に関係深いものまで陳列され、アルカイックからクラシックを経てヘレニスティックにいたり、さらにローマにうけつがれていつた西洋美術の潮流が凡そつかまれるようにディスプレイされた。
京都醍醐寺の五重塔の再建工事は5年余の歳月と546百万円の工費を使つて1月に完成、4月6日同寺保存会長の岸首相らを迎えて落慶法要を行つた。塔は、昭和25年のシェーン台風で大破したため、29年11月文化財保護委員会と京都府文化財保護課が再建に着手したもので、復元された塔はこれまでより2.07米高く、全長41.56米。すべて創建当時のままに復元された。
昨春再建された大阪四天王寺五重塔の初層を飾る壁画の開眼法要が10日行われ、壁画を寄進した朝日新聞社の代表、壁画の作者山下摩起、信徒代表など約100人が出席した。
東京国立博物館、国際文化協会、ニューヨーク日本協会の共催で3月10日から4月17日迄、ニューヨークのアジア・ハウスでハニワ、土偶約55点を展観して好評をうけた。この催は、日米修好百年記念事業の一つとして日本の古代美術ハニワを米国に紹介するためで、野間清六、三木文雄が渡米して会場の説明に当つた。なお、これに先だち1月9日から2月21日迄ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アーツで第1回を開いたが、ニューヨーク展後シカゴ、シアトルでも開催する。
第3回高村光太郎賞は11日開かれた選考委員会で次の通り授賞者を決定した。授賞式は4月2日(光太郎の命日)如水会館で行われる。 詩部門 岡崎清一 詩集「新世界交響楽」 造型部門 佐藤忠良 第23回新制作展「うれ」など一連の人の首の作品
神奈川県立近代美術館で5日から4月3日迄開かれた。メキシコ、スペイン、ユーゴスラビアなどの現代版画展につづく一連の催の一つで、クービン、ココシュカなど24名、100点ほどの版画が送られ、展観された。この版画展の交換として今年7月から開催されるウイーン・フェスティヴァルに参加、現代日本版画展を同地で開くことになつている。
沖縄文化財を復旧保存するため文化財保護委員会では琉球政府の要請にこたえて総合調査団を派遣することになつた。先発隊の、同委員記念物課黒板昌夫、同建造物課修理主査杢正夫両氏は28日羽田を出発、現地調査に赴く。
東京大丸では、毎日新聞社主催のもとに長谷寺の名宝展を26日から3月2日迄ひらいた。列品は、昨年、石田茂作奈良国立博物館長を団長とする同博物館と奈良国立文化財研究所によ る共同調査の結果発見された品で、両界種子曼茶羅図、春日本地曼茶羅図、興教大師画像、地蔵菩薩像、中国明代の浄瓶など名品が多く、注目された。
34年度日本芸術院恩賜賞並びに芸術院賞が3月2日決定発表された。全会員96人からの書面投票を求め、過半数を得た人が受賞者に選ばれたものである。そのうち美術関係者は次の人々である。 恩賜賞 田中親美(書) (受賞対象は、「平家納経33巻複製と古美術複製につくした業績について) 芸術院賞 第一部美術部門 各務鉱三 (第2回日展出品作「クリスタル硝子鉢」に対して 岸本景春 (第2回日展出品作刺繍「湖面の影」に対して) 松本芳翠 (第2回日展出品作「談玄観妙」に対して) 池田遥邨 (第2回日展出品作「波」に対して) 郷倉千靱 (第44回院展出品作「山霧」に対して) 高山辰男 (第2回日展出品作「白翳」に対して) 大久保作次郎 (第2回日展出品作「市場の魚店」ならびに業績に対して) 鈴木信太郎 (昭和34年の個展ならびに一連の風景画に対して)
東京大丸では、2月26日から3月2日まで、長い伝統と独得の技術を誇るチェコのボヘミアン・グラス展を開いた。原地で選んだ400余種、3500点に及ぶ展観で、本場のグラス工芸の美しさを充分に伝えるものであつた。
菊池寛賞は戦後になつて受賞対象を文学以外にも拡げたが、今回、イタリヤのチヴィタヴェツキアの寺院の壁画“二十六聖人”を描いた長谷川路可に賞が贈られた。菊池寛賞が画家へ贈られたのははじめてである。
日本洋画商協同組合主催による展覧会で、画商の選んだ画家45名、彫刻家10名の作品展である。昭和32年から毎年1回行い、今年はその第4回展で、12から20日迄東京・白木屋で、又、2月12日から17日まで大阪・そごうで開かれる。
2月12日日仏会館新館の開館式にフランス国務相アンドレ・マルローが来日出席し、祝賀講演を行つたが、その中で次の様な日仏文化交流に関する様々な計画を発表した。1. 1896年から1900年にかけてフランスで作られた日本関係のあらゆる映画を日本に寄贈する。2. フランス映画誕生以来のフイルムを上映する映画祭を行う。3. 1850―1940年までの大規模なフランス絵画展と近代フランス工芸美術展をひらく。4. パリでは、劇、能、音楽、彫刻、科学、哲学など各分野にわたつて日本の特質を紹介する大規模な催しをする。又鉄斎から玉堂にいたる“独立派”の絵画展と禅芸術の総合展をひらく。 更に24日文部省に松田文相を訪れ、「仏政府が旅費、滞在費を支給して日本から50人の若い学者を招く。来年中にルーヴル美術館の名品を日本にもつてくる。また、フランスで日本の催しを行い日本文化を大々的に紹介したい故、国宝的な仏像、絵画などの文化財を出品してもらいたい。」など、文化交流についての構想を明にし、松田文相も全面的に同意した。
2月11日からシアトル美術館で開かれている第31回ノース・ウエスト国際版画展で関野準一郎の「フィレンツェの屋根」と木下富雄の「仮面No2」がシヤトル美術館賞をうけた。同展には日本から25点参加し、12点が入選した。
フジカワ画廊招来によるザッキン作品展が朝日新聞社主催のもとに銀座松坂屋で15日から27日まで開かれた。先般の大阪展につづく東京での最初の展観で彫刻50点、グワッシュ素描20点が出陳された。
ジエトロ(日本貿易振興会)では、東京駅八重洲口の国際観光会館内にジャパン・デザイン・ハウスを開設した、ジエトロの選定した優秀なデザイン商品を常設陳列して、我国デザインの優秀性を海外に宣伝するとともに、その向上を計ろうとするためで、初代館長に小池新二を内定した。3月15日開館をめざして整備中。
第30回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展に出品する作家として山口薫、斎藤義重、佐藤敬、今井俊満、浜口陽三、柳原義達、小野忠弘、豊福知徳の8名が選ばれ14日発表された。作品は、絵画が4名で20数点、版画は浜口一人で20点、彫刻は3人で15点が予定されている。作品選出の特色は、日本代表として参加する富永惣一の構想によるもので、現在活動している第一線作家を推し、仕事そのものが世界美術の潮流に深く根ざしていることが重視されたのだという。今回は日本画の出品はない。